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PVD(蒸着・スパッタリング)装置部品の精密洗浄とは PVD薄膜形成の品質を維持するには

PVD(蒸着・スパッタリング)装置部品の精密洗浄とは PVD薄膜形成の品質を維持するには

PVD(蒸着・スパッタリング)は、貴金属の薄膜を高精度に形成できる技術として、パワー半導体や精密機器の製造分野で広く活用されています。しかし、成膜を繰返した後の内部部品に堆積した成膜物を除去しないと、製品の性能低下や歩留まりの悪化を招く可能性があります。そのため、PVD成膜後の内部部品の精密洗浄は、高品質な製造工程に欠かせないプロセスです。

近年、日本国内の半導体・電子部品製造では、微細加工技術の進化に伴い、より高度なPVD装置内部部品の洗浄技術が求められる傾向があります。特に、貴金属を蒸着・飛ばすデバイス(例:パワー半導体など)では、最適な洗浄プロセスの選択が品質向上とコスト削減のカギとなります。

本記事では、PVD成膜後の装置内部部品を精密洗浄する重要性ついて詳しく解説します。

PVD成膜とは?貴金属薄膜形成の基本を解説

PVD(Physical Vapor Deposition:物理蒸着)成膜は、真空環境下で材料を気化させ、基板表面に薄膜を形成する技術です。従来のめっき技術に比べて密着性が高く、耐摩耗性や耐腐食性に優れた薄膜形成を実現できます。特に、半導体や精密機器の製造分野では、貴金属を蒸着することでデバイスの性能向上が期待できます。

PVD(蒸着・スパッタリング)の仕組みと特徴

PVDは、成膜対象の表面に高品質な薄膜を形成するための方法として、さまざまな産業で利用されています。PVDの主な種類には、以下の3つがあります。

  1. スパッタリング
  • ターゲット材料に高エネルギーのイオンを衝突させ、飛び出した原子を基板に堆積させる手法。
  • 均一で高密度な薄膜が形成可能で、半導体や光学デバイスに多く利用される。
  1. 蒸着(エバポレーション)
  • 高温で材料を加熱・蒸発させ、その蒸気を基板に付着させる方法。
  • 比較的シンプルな装置で処理可能だが、密着性がスパッタリングより劣ることがある。
  1. イオンプレーティング
  • 蒸発源から発生した金属イオンをプラズマ化し、基板に堆積させる技術。
  • 高い密着性と均一な膜厚制御が可能で、高機能薄膜形成に向いている。

これらのPVD技術は、金属・セラミック・合金などのさまざまな材料を基板上に薄膜として形成できるため、産業用途が広がっています。

貴金属を用いたPVD成膜技術の用途

貴金属(例:金、銀、白金、パラジウムなど)は、PVD成膜の中でも特に重要な材料です。貴金属を使用することで、導電性・耐酸化性・耐摩耗性が向上し、電子部品や高機能デバイスの性能を最大限に引き出すことが可能になります。

貴金属PVD成膜が活用される代表的なデバイス

  1. 半導体(パワー半導体Ⅲ族Ⅴ族化合物半導体・LED・半導体レーザー 等)
  • 銅やアルミニウムと比較して、高い導電性を持つ金や銀の薄膜形成が施されることが多い。
  • 特に高耐圧・高周波対応デバイスでの採用が進んでいる。
  1. 精密電子部品(SAWデバイス・水晶タイミングデバイス 等)
  • 金やパラジウムの薄膜により、接触抵抗の低減や耐食性の向上が可能。
  • 医療機器や通信機器の精密部品に多く使用されている。
  1. 光学デバイス・薄膜フィルター 等
  • 貴金属を用いたPVD成膜は、反射率や透過率を制御しやすく、光学フィルターや反射ミラーに利用される。

例として、レーザー機器や赤外線センサー向けの薄膜形成が挙げられる。

PVD成膜装置の安定稼働、製品の安定品質維持には装置内部の定期メンテナンスが重要

成膜装置を継続使用していると、装置内部に堆積した金属付着物が原因で、さまざまな成膜不具合が発生する可能性があります。これを防ぐためには、金属付着物の除去や部品洗浄、消耗部品の交換といった定期的なメンテナンスを行うことが重要です。これにより、装置の安定稼働と製品の安定した品質を維持することが可能となります。

成膜後の残留物が製品品質に与える影響

1. 接触抵抗の増加による導電性や歩留まりの低下

パワー半導体や精密電子部品では、電極部に貴金属(例:金、銀、パラジウム)を蒸着することが一般的です。しかし、成膜後に酸化物やパーティクル(微細な異物)が付着していると、電気特性の低下や組立工程でのウエハー割れなど歩留まり低下の要因になります。

2. 接着不良による膜剥離のリスク                                                                    

成膜後の表面に異物やコンタミ(汚染物質)が付着していると、基板と薄膜層の密着性が低下します。特に、半導体デバイスや電子部品においては、長期間の使用で剥離が発生すると、製品寿命の短縮や動作不良の原因となるため、徹底した洗浄が求められます。

3. 歩留まりの低下と製造コストの増加

汚染物質が付着した状態で次工程に移ると、歩留まりが低下し、最終的には製造コストの増加につながります。特に高精度な製造工程を要するパワー半導体や精密機器では、一つの欠陥が大きな損失を招くため、適切な洗浄工程を導入することが不可欠です。


部品洗浄とは、一般的に付着した汚れや不要物を除去し、部品を再使用可能な状態に再生することを指します。松田産業が提供する部品洗浄サービスには、以下の特徴があります。
 1.適切な金属除膜
 2.表面処理
 3.精密洗浄
 4.付帯サービス(治具加工)
 5.有価金属の価値還元

 

松田産業の精密洗浄の特徴

松田産業が提供する洗浄サービスはパワー半導体やセンサー、Ⅲ族Ⅴ族化合物半導体 、水晶タイミングデバイスといったエレクトロニクス業界で数多くの洗浄実績があります。

1. 適切な金属除膜

酸性またはアルカリ性の薬液を用いた化学剥離を基本とし、堆積物を効果的に除去します(必要に応じてブラストなどの物理的剥離も実施します)。また、部品(治具)の母材へのダメージを最小限に抑える処理プロセスを設計しています。あらゆる堆積物と母材の組み合わせに対しても適切に除膜できる技術を有しており、お客様の治具の寿命延長にも貢献いたします。

2. 表面処理(ブラスト、溶射加工)                                                               

治具表面にはブラストおよび溶射加工を施し、綺麗に仕上げることで、装置内部での膜剥がれ防止やパーティクルの抑制に寄与します。お客様のニーズに応じたブラスト材や粒度を選定し、施工条件を適切にコントロールすることで、希望される表面粗さにも柔軟に対応可能です。

3. 精密洗浄

金属除膜や表面処理後は、クリーンルーム(Class 1000)内で超純水を使用した精密洗浄を行い、治具のクリーン度をさらに向上させます。その後、クリーンルーム(Class 100)内で梱包作業を実施し、再使用可能な状態で治具をご返却いたします。

また、大手半導体装置メーカー向け純正治具のイニシャル洗浄認定(一部素材に限る)を取得しており、安定した高品質の洗浄サービスを提供いたします。

4. 付帯サービス(治具加工)

松田産業では、洗浄処理だけでなく、お預かりした治具の溶接外れや追加工、ネジ折れ・ネジ山除去などの修理にも対応可能です。洗浄と修理を一括して行うことで、お客様の手間を軽減し、効率的なサービスを提供します。

5. 有価金属の価値還元

除膜した金属から金、銀、白金、パラジウムなどの貴金属を効率的に回収する技術を有しており、除膜から貴金属精錬までを自社一貫で対応可能な体制を整えています。これにより、お客様に有価金属の価値を還元いたします。また、ご使用の貴金属成膜材料への加工・返却にも対応しています。

まとめ

PVD成膜は、貴金属を高精度に薄膜形成することで、パワー半導体や精密機器の性能を向上させる重要な技術です。しかし、成膜時には成膜物質を除膜し精密洗浄を処した内部部品を使用しなければ、製品の品質低下や歩留まりの悪化を招く可能性があります。そのため、PVD成膜装置内部部品の精密洗浄は、製造工程において不可欠なプロセスです。

特に、貴金属を蒸着するPVD成膜装置内部部品の洗浄では、部品素材を損傷させずに高い清浄度を確保することが重要です。自社で適切な洗浄設備を導入することが難しい場合は、専門の精密洗浄サービスを活用することで、品質保証とコスト削減の両立が可能になります。

🔗 松田産業の精密洗浄サービスは、真空薄膜形成装置(スパッタリング装置など)最適な洗浄プロセスを提供しており、業界基準に基づいた高精度な処理を実現しています。

PVD成膜装置内部部品を適切な精密洗浄を実施し、製品品質の向上と安定した生産プロセスを維持するため、是非当社の精密洗浄サービスをご指名下さい!

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