新製品の開発には解決すべく問題が山積み状態。めっきプロセスの課題を解決した一手とは?
C社は機能材料や化学材料などを幅広く展開している会社である。伊藤さんは電池の開発部門で研究を行っており、量産に向けて実験データを取得する日々だった。その一つの銅板の耐食性がスペックを満たしておらず、このままでは量産工程まで間に合わないという問題を抱えていた。
開発部門の伊藤さんは当時をこう語る。
金めっき膜厚を厚くするという手段も考えたが、製品単価が上がってしまうことと生産効率が悪くなるため、別な手段を考える必要がある。
伊藤さんは藁をもすがる思いでめっき加工メーカーに相談した。事情を説明したところ、「松田産業のめっき液が優れている」ということだった。松田産業は貴金属の回収だけではなく、めっき液も販売しているとのこと。さっそく松田産業に連絡を取り、詳しく話を聞いてみることにした。
松田産業の営業担当からは
との提案があった。
さっそく伊藤さんは、松田産業から提案された金めっきで試作をすることになった。後日試作サンプルがL社に届き評価したところ…。
なんと、既存の被膜と比べると松田産業の被膜サンプルは腐食している箇所が見当たらず、耐食性が非常に優れているという結果が得られたのである。また、それ以外の評価でも松田産業の金めっきは現行のめっき液よりも優れた結果を出すことができるものだった。同様に現行のめっき被膜の分析、解析をした結果、膜厚のばらつきが大きく、ピンホールも多々見られるという結果だった。
と伊藤さんは、めっき技術の使用に意欲的な姿勢を見せてくれた。